ある日ペルシャ猫のワッズードがステンドグラスの下で日向ぼっこしていると、
黒猫のシェモワがそっとやってきて右の前脚でコンコン
ワッズードがかわいい目をぱっちり開けて見ると素敵なシェモワがこっちへおいでって
手招きしたのよ
ワッズードはもちろん行きたくてたまらなかったけど
お屋敷の奥様は表に出してくださらないし
そうだ お嬢様にお願いしてみよっ
お嬢様はお稽古事に忙しくてめったにお相手してくれないのよ
でもこの日はなんの気まぐれでしょう
ステンドグラスのお部屋に入ってきてワッズードを抱きあげて頭を撫でてくれたの
ワッズードはゴロニャンとないてお嬢様になすりなすりしたわね
そしたらお嬢様は上機嫌になってね ふと表を見るときれいな黒猫がこっちを見ているのに気づいたの
お嬢様はここでちょっとためらったわ
だってお外の猫をお家の中にいれたらお母様におこられるかもしれないし
第一汚いかもしれないし
どうしようかなって思っていたんだけど 見れば見るほどきれいな黒猫だし
しっぽもすらっと長くて姿勢もいいし
えーい 中にいれてあげちゃえって
小窓を開けておいでって手招きしたわ
シェモワは貴族のように礼儀正しくお部屋に入ってきて お嬢様にご挨拶したの
まるでこう言ってるみたいにね
・・・お嬢様 はじめてお目にかかります わたしはシェモワと申しまして、お隣の屋敷に飼われているものでございます
あら おとなしそうできれいな黒猫ね きっとお隣のお屋敷の猫ね おいで
ってお嬢様が言ったらね
シェモワはお嬢様のおひざにすりよってゴロニャン
−−ねえねえ おばあちゃん それから？
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