ピンポーン
あれ？だれかなあ
こんばんは♪
あら おばあちゃん！空飛ぶロッキングチェアに乗ってやってきたあ！
おばあちゃん よかったわ ちょうどいまコーヒーできたとこなんです
そおお？じゃあいただこうかしら
いい香り このコーヒーおいしいわねえ
でしょう？
今夜はなに聞きたいの？
なにかこうファンタシックなのがいいなあ
それじゃあ こんなお話にしましょか
わたしが昔お世話になっていたお家にね
かわいい子猫がいてね
それがね かわいい靴下をはいていたの
−−へえー！
びっくりしたでしょ？
とりわけお気に入りが黄色い靴下なのよ
−−そーなんだ ねえ おばあちゃん 三毛猫？
いえいえ 真っ白なペルシャ猫なの
−−へえー！！
−−ねえ おばあちゃん 猫の名前は？
ワッズードって呼ばれてたわ
−−不思議な名前ね
そおお？そのワッズードがね ある日恋をしたの
−−わお！
ワッズードはお屋敷の大きなステンドグラスのところでひなたぼっこするのが好きでね
その日もぽかぽか
ワッズードもすやすや
そしたら窓の向こうからきれいな黒猫がそっと近づいてきてワッズードを見て
うーん 一目ぼれね
きちんとおすわりして右あしでコンコン
ワッズードはかわいい目をぱっちり開けたわ
うーん やっぱり一目ぼれ
こういうの 相思相愛っていうのかしら
でもね お屋敷のご主人はワッズードを表に出してくださらないの
大事な猫ですものねお家の中で飼っていたの
毎日毎日ワッズードはステンドグラス
毎日毎日黒猫は
そうねえシェモワっていう名前にしましょうか
シェモワは毎日毎日ステンドグラスの向こうできちんとおすわりして
おたがいにガラスに頭をくっつけていたわ
−−ねえ おばあちゃん それからどうなるの？
そおねええ どうなるのかしら
あなたがこうなってほしいっていうふうになるんじゃないかな
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