恭平の宇宙旅行 2
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story4
最終章 希望
恭平とミエットは肩を寄せて、黄金の砂丘を見ていました。恭平の横には二人の男の子、ミエットの横には小さな女の子。
クレッカさんとアリスさんもやっぱり肩を寄せて、黄金の砂丘を見ていました。クレッカさんの横に女の子、アリスさんの横に小さな女の子。
はるか遠くの太陽が赤く地平線に沈もうとしています。みんな体にぴったりしたアストロスーツを着ています。
「あれで、よかったんだね」
恭平はミエットに向いて言いました。
「うん、そう思う。結果オーライよ、あなた」
キョーヘイと言われなかった、おー！
向うから一人誰かさんが歩いて来たようです。
恭平は振り返りました。
「船長！もういいんですか？」
「オーケーさ、ほれ、こんなにぴんしゃん」
あいかわらず、ケリー船長はねあかです。
口にパイプをくわえて、煙は出ているはずはないけど、なんとなく、むかしどこかで見た木彫りの海賊の船長に似ていて、恭平はにやっとしました。
クレッカさんたちも船長のところに集まってきました。ここはまるで地球みたいな風景です。
「みんな、地球は恋しくないかな？」
「そういう船長こそ、恋しくないですか？」
「ま、わしは連れ合いもいないしな、若いもんはいいなあ」
「なにを言ってんですか」といいながらも、恭平は思った。船長は淋しいんだろな、一人だもんな。
「ここには可愛い子たちがいるからな、孫みたいなもんだな。
ところで、タイムカプセルに入れようと思うんだ」
「え？何をですか？」クレッカさんが訊きました。
「わしたちの記録をな。
このモルガモンに来て、優しい人たちに出会って、仲よく暮らして、あの作戦を考えて、成功して、この楽園が守られ、あの地球に緑が戻ってきたことを書いた記録を入れようと思うんだ」
「そして、いつの日か、地球の子どもたちがそれを読んで、こんな世界もあったんだなって空想してくれるんですね」、しんみりミエットがいいました。
「地球は宇宙で一番きれいな星だと思うんだ。もちろんモルガモンも美しい。でもこの星はモルガモンの人たちの星だ。ぼくらの星はやっぱり地球だ。いつの日か、大きな宇宙船を造って地球に還るかもしれないな、幾世代も後の話だろうけど」
ケリー船長の髪もすっかり白くなりました。そうです、きっといつか誰かが地球に還るときが来るに違いありません。
それまで、この物語はしまっておきましょう、そっと。
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