汝何を知らんと欲するや
第6号 05/02/09
意識
エネルギーそのものが意識していたのか。
いま、意識は睡眠を欲している。覚醒しているときは、認識を集中できる。いまは疲れてきた。意識の興味は、美と変化と可変。睡眠すると可変は制御できない。ああもうねむい。夢の中で美と変化を感覚しよう。
目覚める。夢を見た気がするが思い出せない。可変を制御できる。視野を認識し、音声を知覚し、手足の操作はいつもの通り。鏡を見る。記憶の顔に変化はない。ラテン語入門を開く。Co:gito:, ergo: sum.我意識す。故に我在り。
細菌にマイクロ意識がある。意識の実体はどこか。細菌の実体の中にあるだろう。変化するものは細胞質、核。ミトコンドリア、ＤＮＡ。ＤＮＡはループしている。ループの中で変化が継続する。ＤＮＡにタンパク質が降着する。ＤＮＡは乖離しＲＮＡを複製する。ＲＮＡは核膜を通過してリボゾームに降着しタンパク質を合成する。タンパク質は細菌の構成を変化する。細菌は変化に対応して動く。ＤＮＡは次の攻撃を受けまたサイクルを繰り返す。ループはとぎれない。ＤＮＡは確率で変異する。合成は確率で変化する。ＤＮＡ記号が変わらぬ間は同じ合成が続く。ＤＮＡは塩基記号で対話する。
これは意識か。
ＤＮＡが人格を持つのか。意識し形を変え、自己を認識する。そんな自分が面白いのか。動く自分が愉快なのか。ＤＮＡに意識があるなら構成している分子に意識があるか。要素がないものが発展しても要素は発生しない。科学の言葉を借りるなら、クウォークに意識があるか。彼は自由に素粒子の中で運動する。運動するものに意識がある。または運動させる空間に意識があるか。空間を構成するものに意識があるか。
クウォーク意識の集合体がマイクロ意識となり、マイクロ意識の集合体がマクロ意識になる。
話を変えよう。
私はいま目の前にパソコンの画面を見ている。私の何が見ているか。意識の座にあってコックピットの中にあって、目の前にある映像は何がそうさせているのか。視覚中枢で解析された情報が意識の座のディスプレイに３次元表示される。エアコンの風の音が聞こえる。聴覚中枢で解析された情報が意識の座のスピーカーから３次元表示される。指先の感覚が意識の座の擬似指先に表現される。私は擬似人間体だ。意識の私は学習を隣に座らせている。いや学習は私よりもはるかに巨大で、彼は彼女は太陽のように巨大で、私は地球のように小さい。意識は学習の履歴の集合体か。意識は初めは存在せず、学習が生み育てたものか。意識は初めは種として存在し、学習が育てたものか。存在しないものは存在しない。全ての中枢から意識の座に伸びた無数の神経線維は情報を報告する。視覚中枢の視野の広さからすると億の単位の情報繊維が到着し、億の単位の座の細胞に接合する。この細胞群は似た反応を示す。座の決定はグループの多数決による。座の決定により、注目する視野が決まる。そこに意識は集中する。認識が始まる。
意識は欲するということだけを学習に伝える。学習はパネルを操作する。学習は母のように意識の願いをかなえる。
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