ちゃんととびました。
おうさまはまんぞくしました。
夢を見て
不思議だ。
ぼくのなかの何が景色を作り、登場人物を動かし、
ストーリーを流してゆくのか。
実像はこんなによく観察できる。
双眼鏡で見ればもっとよく見える。
顕微鏡で見ればもっとよく見える。
こういうものを作りたいと思うとき、
そのイメージは透明だけど、作ってゆく過程で
そのイメージに合う合わないを判定して行ける。
こういうものを描きたいと思うとき、
そのイメージはやはり透明だけど、
描いてゆく過程で
そのイメージに合う合わないを判定して
だんだんイメージに合ってくる。
ただ、技量に限界があるといつまでも合わなくて
いらいらする。
だけど夢はどうだ。
イメージは実物そのままで
動きはそっくりで
それを観察しているぼくは引き込まれて
映画の中に放り込まれて
抜け出せない。
すこし若い頃は
こうなったらいやだなと思った瞬間
そういう場面が出てきて
叫んで
夢から脱出した。
いまでも
こうなったらいやだなという感じは出ないけど
怖い場面にどんどんなっていって
叫んで
叫んで
脱出したことがある。
ぼくは意識の座に座っていると
外界の観測結果を配下のどこかで無意識に演算が行われ、
ぼくの前に仮装世界を現出する。
実在世界の再現だ。
ぼくはこの身体の外装筋肉部分を操作できるので、
この操作に習熟しているので、
双眼鏡を持ち上げて、目の前に置くこともできるし、
焦点を合わせてはっきりみることもできる。
指先にふれる焦点合わせをまわし、
遠近を調整する。
視点を変えて
空ゆくつばめを追って
自分もとんでいるような船酔いをかすかに感じる。
たぶん
仮想世界を構成してぼくの前のスクリーンに映し出す仕組みが
夢の時も働いていてる
この仕組みは現実世界を気にしなくてよいから
勝手に作ってる
でも
ぼくはそんなことを知らないから
ほんとのことだと思って
夢の世界を歩き回る
まるで本物そっくり
話しかけてくる人の姿も顔も
話し方も本物そっくり
見たことのない顔がほとんどで
たまに
家族の顔が出る
昔の面影で
触感もときどき感じる
たぶん
この仕組みは24時間いつでも働いているんだろう
ただ
覚醒しているときは
現実の情報の方が強くて
その変換作業が忙しい
つぐみかな？
電線の上で
歌うのは
俳句といわれるほどわびもさびもしらない
川柳といわれるほどユーモアもしらない
狂句といわれるものはしらない
ただ
和歌を短歌というなら
ぼくのは短句
短句とは
心のままにうたううた
いままでの短句
ほし柿ころ柿
アンポ柿
そういうわたしは
アンポンタン
孫という字は
かね偏なりと
妻といい
陸に舟
川よ橋よ
さがみ川
ホーホケキョ
美声をきいて
バスを待つ
うぐいすの
声ききほれて
つつじ橋
熱海なり
こまかい雨に
架線のしずく
踊り子に
ゆられて下田に
つきにけり
あじさいが
青く我を
迎えけり
えびせんの
種類をきけば
桜えび
うぐいすは
寺にもゆかず
経をよむ
わが上を
めぐりてやさし
とんびかな
青いあじさい
松崎の川
また来年
きりさめに
かさをさしても
ひざぬれて
つぐみかな？
電線の上で
歌うのは
こころのままにするのは自由できもちいい
今日もいた
チュピーチョチョチョ
みはらしいいか
電線の上
オレンジの蝶
いつまでも吸う
目の前で
オレンジの屋根
遠くの方に
見えにけり
オレンジの蝶
君の名はたぶん
ベニシジミ