汝何を知らんと欲するや
第12号 2005/04/03
不思議
さっきほんとに目の前を羽虫が飛んでいた。あんなちいさな質量の中で、手を近づけると回避しようとする機能が働く。意識が活動していて、周辺の変化を感知し、自己の保存のための最良の行動をとる。これが自分なら意識して、または無意識にそうするが、そうか・・・。無意識の意識は羽虫の意識に似ている。自分の中には無数の無意識の意識が活動し、これは遺伝で機能が保証されている。遺伝ということはＤＮＡ。ＤＮＡを取り巻くタンパク質環境。無意識の意識は自己を認識していない。プログラムそのもの。いま、文章を作っている自分という意識の結果は、無数の機能の組み合わせで実現している。意識が王様で、王様の思いつきの発想を実現しようとして無意識の意識が協力する。自分は何を不思議と思っているのか。観測者から見れば質量の中に仕掛けがあろうとなかろうと、手を近づけると回避しようとする機能が働けば、羽虫か人間かロボットか区別できない。質量の中で、中間言語があってもなくても、状況を観察し、最良の行動をとる意識が働いているまさにその現場で、彼は自分を認識できているのだろうか。人間の自分ならそうしている。意識は無意識の活動を外から観察しているくせに、無意識の意識たちに命令することができる王様だ。自分の行動の結果を無意識の記憶機能「学習」に任せて記録し、いつでも検索して参照できる。この機能は突然人間に与えられたものではなく、すべての生物に種があったのだろう。
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