１．かぜさん
うみのむこうの とおい くにに きれいな おはなばたけが ありました。そこは いちねんじゅう きれいな おはなが さいていました。しろいはなや あかいはなや きいろいはなや ピンクのはなが いっぱい さいていました。そらは あおく すきとおっていて しろいくもが うかんでいました。かぜが はなの あまい かおりを はこんで おはなばたけを ゆっくり まわっていました。
このくにの まんなかに いずみが ありました。そこにも きれいな はなが たくさん さいていました。しろいはなや あかいはなや きいろいはなや ピンクのはなや あおいはなや むらさきいろのはなが さいていました。いずみの みずは すきとおっていて いずみのそこには きれいな すなが ありました。しろいすなや あおいすなや みどりいろのすなが さらさらと ながれるみずで ゆれていました。
かぜが いずみに やってきました。いずみの はなの あまいかおりを はこびにきたのです。かぜには なかよしの おともだちが いました。さて だれでしょう。
この とおいくにに あるとき ふたりの おんなのこが やってきました。おとうさんの おしごとで かぞくで ひこうきで きたのです。だから だいすきな おかあさんも いっしょでした。
おんなのこのなまえは おねえさんが みりちゃん いもうとは あいちゃんといいました。ふたりは いつも いっしょに あそんでいました。
きょうは おかあさんにつれられて みりちゃんと あいちゃんは おはなばたけに きました。おはなの あまいかおりが ただよって とても いいきもちです。かぜが そよそよと ふたりの ほほを なでていきました。
「こんにちは」とだれかが ささやきました。
「あれ だれかなあ」と みりちゃんが あいちゃんに ききました。
「だれかなあ」と あいちゃんが ふしぎそうに いいました。
「こんにちは」とだれかが もういちど いいました。
「あれ やっぱり だれか いる」と みりちゃんが きょろきょろしました。
「だれか いる」と あいちゃんが きょろきょろしました。
「こんにちは。ぼく かぜ です。」
「あれ あいちゃん。ぼく かぜ ですって だれか いったよ」と みりちゃんがいいました。
「ぼく かぜ ですって だれか いったよ」と あいちゃんが いいました。
「そうです。はじめまして。よろしく。ぼく かぜ です。めを とじてごらん」
みりちゃんと あいちゃんは めを とじました。
「あいちゃん。かぜさんが みえる」と みりちゃんが いいました。
「かぜさんが みえる」と あいちゃんが いいました。
かぜさんは こんな ふう でした。