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私は何？
第１巻
第４話
ピロロロリー
やあーユードラ、いつもかわいいな
Merci, mon pére.
意識は内側にある。
今、目の前に視界がある。瞼を閉じると視界は消え、黒い闇の中に朦朧とした光の模様が残る。
再び瞼を開ければ視界が戻る。これを意識が見ている。
目の前に見えるのはコンピュータの画面。文字が一文字ずつ現れてくる。
網膜の視覚細胞が一点の光を認識し、パルスを脳に送る。全視野の点の光のパルスを脳が受ければ視界が成立する。
意識は全視野のパルスを認識している。どうやってだろう。
仕組みを想像することはできないが、視野の点一つ一つが意識につながっている。
意識の目の前にはスクリーンがあるかのように思える。
上下で160度ぐらい、左右で180度ぐらいのスクリーン。
色と形を認識し、部隊の移動を認識し、追跡することもできる。
意識は音を聴く。上下左右360度の感度を持つ。奥行きも認識し、音の移動も認識する。
意識は体表面の刺激を認識する。痛み、圧力、温度、摩擦を感覚する。摩擦の移動も認識する。
意識は重力を感覚する。
意識は四肢を動かせる。
意識は骨格筋を動かせる。
意識は鏡を見て身体の形態を見る。
意識は自分の形を認識する。
意識は想像する。
意識は想像に一致するように身体を動かすことができる。
意識は見たいものをよく見ることができるように視野を動かす。
意識は想像に一致するように手指を動かして物を作る。
意識は想像に一致するように手指を動かして物を操作する。
こうしてコンピューターの画面に文字が足されて行く。
意識はガンダムみたいなものと思われる。
このぼくという人間の身体のおそらく脳幹のどこかにぼくの意識がある。
あえて形があるとすれば、球形。
球形の表面に身体中のパルスが投影されている。
パルスの一点一点は意識のフィンガータッチで反応する。
でも視界は反応しない。
瞼を閉じれば消える。
音界も反応しない。
耳を完全に閉じてれば消える。
身体を動かすポイントはタッチすれば反応する。
ただし、思うように動かすには長い訓練が必要。
右手で器用に箸を使えても、左手ではぎこちない。
手指を動かして線を描いて思うように仕上がるには長い訓練が必要。
言葉を覚えて思うように話すには長い訓練が必要。
意識は言葉をわかろうとするが、翻訳回路が成熟するまで待たなければいけない。
回路の成熟には長い訓練が必要。
訓練するとき、意識は苦しむ。訓練が楽しければ苦しみは消える。
10:30 2014/05/29
第１巻
第５話
まだです